結局ALISのトークン設計はSteemitの課題を克服できたのか

結局ALISのトークン設計はSteemitの課題を克服できたのか

Sairi Tanaka
2018/12/09
数多くのdAppsが生まれてきましたが、その中でもソーシャメディア領域でALIS、Steemitは数多くのユーザーを抱えて実際に機能しています。
Steemit、ALISについて以前に分かりやすく解説した記事があるので、まだ読まれていない方は先に以下記事に目を通して見てください。
Steemitの記事はこちら

ALISの記事はこちら

ALISとSteemitの違いに関してはALISの記事でも少し触れたのですが、本記事ではもう一歩踏み込んで両サービスを比較していきます。
ALISが問題視したSteemitの複雑なトークン設計を、単一トークン化によって解決しました。しかしその際に生まれたいくつかのデメリットを、トークンのインセンティブ設計によってカバーすることができたのでしょうか。

ALISとSteemitのトークン設計の違い

ALISはSteemitの複雑なトークン設計を問題視しました。
Steemコミュニティ内ではSTEEM, SP, SBDという3種類の異なる特徴を持ったトークンを用いることで、仮想通貨を用いてトークンエコノミーを形成する際に生まれる様々な課題を解決してきました(過去記事参照)。
一方で過去記事を見ていただければ分かるように、これら3つのトークンの仕組みをユーザーが理解することは簡単ではなく、コミュニティ参加の障壁となっていました。
ALISはこれを解決するべく、単一にALISトークンのみを使ってサービスを作ろうとしました。この際に様々なインセンティブ設計、アルゴリズムの改善を試みています。
以下項目ではSTEEMに付随して生まれたSP、SBDそれぞれに着目しながら、「ALISは単一トークンで課題をクリアできていると言えるのか」「SteemitとALISのビジョンの違いが設計にどう現れているのか」について考えていきます。

ALISは単一トークンでインセンティブ設計の課題をクリアできていると言えるのか

(以下にでてくる数式など、細かいところは読み飛ばしても問題なくこの記事を理解できます。)
まず、SteemコミュニティにおいてSPというトークンが用いられている理由を復習してみましょう。SPはコミュニティ内での影響力に繋がるトークンであり、これを持っていることでSteemitコミュニティ内で報酬を得やすくなります。しかし、他の通貨と容易に変換できるSTEEMトークンと異なり、SPトークンは換金する際に14ヶ月13分割しなければなりません。
一方でALISは単一トークンであるため、コミュニティ内で使えるトークンは同時に換金可能な通貨となることが予想されます(2018年現在ALISコミュニティ内のALISトークンはEthereumオンチェーンでは実現されておらず、換金することはできません。)
しかし一方でALISはユーザーがALISの形で資産を保有するインセンティブ設計を行っています。Mediumの記事にてALISが投稿していたようにPoIに似たシステムを用いることでALISを長期保有するインセンティブを与えています。
簡単にいうと
に従って報酬を計算しているのです。
(1<t<94)の範囲ではtの値が大きくなるにつれてf(t)の値は1を上限として上昇しますが、(t>94)においては永遠にf(t)=1 です。

 

上記の関数は以下2つの特徴を生んでいます。
  1. ALISを保有して94日経過以降は100%ALISトークンの恩恵を受けることができるため、ALISを長期保有するインセンティブとなっています。
  2. 94日目までは対数関数的な上昇幅のため、初期ユーザーは10日経過する頃には50%程度の恩恵を受けることができ、新規ユーザーがALISの魅力を感じやすくなっている。

ですがこれはユーザーを長期間コミュニティ内に滞在させるインセンティブになっているものの、Steemitの実現したSTEEM→SPの一方通行的な流動性による「売り圧力の低下」という目的までは果たせているとは言えません。今後ALISのサービス内トークンが解放された時、ALISはこれらの問題とどう向き合っていくのか、目が話せません。

ALISはSBDの役割をカバーしているのでしょうか

SBD(Steem dollars)を一言で説明すると、Steemコミュニティにおいて、ドルにペッグされた安定した報酬をユーザーに与えるための存在です。Steemitユーザーはコミュニティへの貢献の対価として受け取る報酬をSBDで受け取るか、SPで受け取るかの割合を任意に設定できるようになっています。
これによって、単純に収入を得るための手段としてSteemitを使用することができるようになり、質の高いライターのSteemit参入を誘導できることが考えられます。単にSteemの理念に共感したユーザーに利用してもらうだけでなく、収入を得るプラットフォームとしての立場を確立することを達成しているのです。
一方でALISは現状、収入を得る手段としてのプラットフォームの立ち位置にはなっていません。
この特徴の良い悪いはさておき、この根元には両プロジェクトの理念が影響していることが読み取れます。Steemは「コミュニティへのあらゆる貢献に報酬が払われる仕組みを作る」ことをビジョンに掲げていますが、ALISは「信頼を顕在化し、良質な記事にいち早く出会えるプラットフォームを作る」ことを掲げています。社会に対してより良い報酬体系を提案したいSteemにとって、既存のライティングを生業にしている人を取り込むことは至極真っ当な流れであり、それを考えた時にSTEEMトークンに加え、SBDを報酬のための通貨として用いることは理にかなっています。
一方でALISは、プラットフォームを作ることが目的であり、ネット上に存在した既存の報酬体系に取って代わることは本質的な目的とは一歩離れているのでしょう。
しかし、記事制作を生業にしている、コアなユーザーを取り込むことは間違いなくコミュニティの成長を加速させる要因であり、それを一因としてSteemitがあそこまで成長していることは事実です。それらを踏まえ、ALISは今後どのようにしてコミュニティを成長させていくのでしょうか。

参考

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