EOSのガバナンスの仕組みとBlock Producerを考察する

EOSのガバナンスの仕組みとBlock Producerを考察する

Tsuyoshi Kaji / 編集長
Tsuyoshi Kaji / 編集長
2018/12/12

この記事はEOSの考察第3弾となります。

前回の記事をまだ読んでいない方はこちらから。

前回の記事で説明したように、EOSは間接民主主義のようなガバナンスをとっており、それが他のブロックチェーンプロトコルと大きく異なる点でもあります。そこで、今回はEOSを考察する上で最も重要な要素の一つであるガバナンスについて解説します。

前回EOSのプロトコルはBFT-DPoSというコンセンサスアルゴリズムに基づいて、投票によって選ばれた21のノードがBlock Producer (以下BP)としてブロックの生成・承認を行うと説明しました。

しかしBPの役割はブロックの生成・承認だけではありません。

EOSはプロトコルなどのアップデートに関する合意をオンチェーンで行うオンチェーンガバナンスという仕組みを採用しています。つまり、EOSトークンの保持からの投票に基づいて選出されるBPは、ブロックの生成・承認によるネットワークの維持に加え、ガバナンスも行なっているということです。

Block Producerの役割

BPはガバナンスにおいて具体的に以下のような役割を持ちます。

  • プロトコル・アプリケーションの変更の決定
  • アカウントの凍結やトランザクション処理の無効化

 

プロトコル・アプリケーションの変更の決定

通常、ビットコインイーサリアムのようにオフチェーンガバナンスというガバナンスモデルを採用しているプロトコルではコア開発者たちによるブロックチェーン外部での意思決定に基づいてプロトコルやクライアントアプリケーションの変更が行われます。各ノードはその変更を受け入れるかどうか判断し、場合によってはビットコインキャッシュやイーサリアムクラシックのようにハードフォークを行います。

一方EOSはオンチェーンガバナンスを採用しているため、

など、様々な変更がBPの投票によって判断されます。

これらの変更の提案は以下のイギリスに拠点を置いたBPによって運営されているEOS Authority上で提出され、BPの投票が行われることになります。21のBPのうち、15の承認で提案が実行されます。

このサイトでは、実際にどんな提案がされ、どのBPが承認したのかを確認できます。

現在、承認が進行中の提案はリファレンダム用のコントラクトアカウントとして存在するeosforumdappというアカウントとeosforumrcppというアカウントの役割を統合してeosio.forumというアカウントとしてリファレンダム用の公式のコントラクトにするという提案です。2018年12月11日現在10のアカウントが承認しています。

 

アカウント凍結やトランザクション無効化とECAF

不正なトランザクションやそれを発生させるアカウントはEOSネットワークに問題を起こすため、ブラックリストに追加され、アカウント凍結またはトランザクション処理の無効化が行われます。この処理は基本的にECAF (後述) というフォーラムが処理要請を受け入れて仲裁し、要請内容が公開されます。

 

ECAFコア仲裁フォーラム

ECAF (EOS Core Arbitration Forum) はトランザクションの無効化・アカウントの凍結などをネットワーク (厳密にはBP) に指示することができるフォーラムです。各ユーザーは不正の疑いのあるトランザクションやアカウントをECAFに仲裁要請することができ、要請を受けたECAFは調査の上、受理するかどうかの判断を下し、受理した場合にはBPに指示を行います。しかし、ECAFの指示には法的拘束力はなく、BPは指示を受けると投票を行い、21のBPのうち、15の承認で要請された処理は実行されます。

ECAFはEOSネットワーク上でのトラブルを仲裁する第三者機関として存在しており、ECAFの運営はEOSの開発企業であるBlock.oneとは無関係だと主張しています。

以下がECAFのサイトとなっており、サイト上のフォームから要請を送ることができます。

Block Producerの要件

ここまでBPが担う役割について説明して来ましたが、ここからはさらにどのような個人・組織がBPとして選出され、どのように運用されているのか説明していきます。

基本的にBPの候補として認められるためには以下の条件を満たす必要があります。

  • 情報の開示
  • 憲法の遵守

 

情報の開示

BPに立候補するためにはまず、以下の情報を開示しなければなりません。

  • Public presense:公式ウェブサイトのURLと1つ以上のソーシャルメディアのアカウント
  • ID on steemit:Steemに書き込まれた以下の情報
    • BP候補者の名前
    • 組織のヘッドクォーターの場所
    • サーバーの場所・種類 (クラウド、ベアメタルサーバなど)
    • 従業員全体の67%以上の名前と写真、経歴が載ったリスト
  •   Tech spec:使用するマシンの技術スペックとリソースへの支出
  •   Scaling plan:ハードウェアのスケーリング計画書
  •   Community benefit:コミュニティへ提供する予定のプロジェクトの概要
  •   Telegram + Testnet:テレグラムの情報とテストネットノードの情報
  •   Roadmap:コミュニティへ提供する価値、財政、透明性、プロジェクトなど重要なロードマップ
  •   Dividend on position:投票者へのブロック報酬分配をしないことの宣誓

これらの情報は改ざんを防ぐため、基本的にSteemitで公開することがルールづけられています。

 

憲法の遵守

EOSにはネットワーク参加者が守らなければならない憲法 (constitution) というものが存在します。19項目がEOSの公式githubに公開されています。

いくつか取り上げて紹介します。

  • 第4条:No Vote Buying:メンバーは何らかの価値と投票の交換を提案または承認してはならない。
  • 第7条:Open Source:各開発者はスマートコントラクトをオープンソースにしなければならない

これらの要件を満たした上で、BPはツールやサービスの開発、BP同士のビデオ会議でネットワークの課題へのディスカッションなどを行うことによってアピールし、投票を獲得しようと試みます。

Block Producerの報酬

ここまで説明したように、EOSのBlock Producerになるには多くのコストがかかります。それでもBPへの立候補者が数多く存在するのは、それなりの報酬を得ることができるからです。

BPへのブロック報酬は年間5%のインフレのうち、1%となっています。そのうち25%が純粋なブロック報酬 (Block Rewards) となり、75%が得票報酬 (Vote Rewards) となります。

ブロック報酬:トップ21人のBPに得票数に応じて分配されます。

得票報酬:トップ21人のBPを含む全てのBP候補者に得票数に応じて分配されます。この場合、分配額が100EOS/日以上なければ受け取ることができません。現在は得票数60位まで得票報酬を受け取っています。

トップ21以下のBP候補者にも報酬が分配されているのは、サーバーなどのメンテナンス費を少しでも補填し、BPになるインセンティブを与えるためです。

BPは126ブロックごとに入れ替わることになっています。

まとめ

今回はEOSの特徴的なガバナンスとその要であるBlock Producerについて解説しました。現在日本で出回っているEOSの情報はあまりにも少なく、他国と比べてエコシステムの盛り上がりにも差があるようです。EOSは着実に成長しており、重要なプロトコルのうちの一つですので、Economies2.0は今後の動向も追っていくつもりです。


LINE@

LINE@で最新情報をチェック!!

Economies 2.0のLINE@を友達に追加して 最新情報を受け取りましょう

LINE@で最新情報を受け取る