EOS CTOの考える既存のブロックチェーンの課題とその解決策とは?

EOS CTOの考える既存のブロックチェーンの課題とその解決策とは?

Kota Takeuchi
Kota Takeuchi
2018/10/24

ブロックチェーンは分散的要素にフォーカスされ、既存の中央集権的な政府と対照的に語られる多く、その分散的要素を保ったままスケーラビリティなどの問題の解決策はないかと世界中のブレイン達がこぞって研究をしています。しかし、分散が必ずしも絶対的な正義なのでしょうか。

本記事ではEOSのCTOが捉えるブロックチェーンの課題とその解決のための構想から、少し分散性に対して疑問を投げかけてみましょう。

ブロックチェーンに期待されていたこと

本当の分散的なブロックチェーンガバナンスを理解するために、既存の中央集権銀行の問題点を再度確認してみましょう。

  • 金融政策が予測できない
  • 政府のお金の使い方をユーザーがコントロールできない
  • 負債ベースのお金だから不安定
  • 銀行預金の詐欺的な利用
  • スパム
  • ID盗難
  • 保険のモラルハザード

などの問題があります。

法定通貨に頼りきりで生活する限りは政府が私たちの資本金を消費するのを止めることはできません。政府と銀行は無制限にお金を増刷することができるので、世界のリソースの大半を押収することもできます。実際にこのようなことが起きてから気づくのでは遅いのです。

はじめはビットコインスマートコントラクトプラットフォームは”code is law”と”hash power makes right”をコンセプトにしていました。検閲への耐性や、外部からネットワークを潰すことが実質不可能な特徴が、上記の既存金融システムの問題を解決し、金融界を次のステップへと導くと信じられていました。

既存のブロックチェーンの現実

しかし、BitcoinやEthereumは何か利益をもたらしたでしょうか?不本意な資産の喪失から人々を救ったでしょうか?現在の銀行システムとの比較してみましょう。

これを検証するために、ブロックチェーンと既存の銀行下で、人がお金と自由を失う原因となる事項をリストアップしました。

このように、ブロックチェーンは解決する課題よりも、新たに生じた問題の方が多いのが現状なのです。

ブロックチェーン上のシステムを安全に使いこなすにはあまりに高いリテラシーが求められるため、”普通”の人にとっては、仮想通貨は通常の銀行口座よりずっと脆弱なものとなってしまっています。

ブロックチェーン上に生じる問題の多くはサポート不足によるユーザーサイドの使い勝手の悪さと緊急時の対応の非公式さに起因します。

事実、クレジットカードの保険に紐づけられたAML・KYCのためのルールは自由を奪っている代わりに、人々を多くの犯罪から守っています。

もし銀行の暗証番号の管理が甘かったら損をするのはあなたではなく銀行です。銀行が破産したとしても保険により資産はカバーされ、暗証番号をなくしても銀行があなたの本人情報を認証して資産を回復し、銀行側の過失で資産を引き出せなくても銀行が責任をとってくれます。

ブロックチェーン上でバグやハッキングが起きてもその制裁は既存の政府や司法機関に任せるしかありません。そしてその解決に関する意思決定(ハードフォークなど)も不透明です。

いくら金融業界が腐っていようとも、現実には普通の1ユーザーにとっては現在のブロックチェーンシステムと比べたらの現在の銀行システムの方がずっと安全なのです。

なぜなら普通の銀行の内部の腐敗は一般の個人には認識されにくいのに対し、ブロックチェーンのセキュリティに関する欠陥は一般個人に分かりやすい形で被害が生じてしまうからです。

コードが法律となりうるか

ビットコインイーサリアムには中央的なガバナンスは存在せず、コードのみ法律となることで、参加者に平等がもたらされると信じられていました。しかし現実にはどうでしょう。

緊急時や、プロトコルのアップデート時に、あらゆるブロックチェーンにはヒューマンガバナンスが存在することが明らかになりました。

例えば、イーサリアムの影の政府はDAOハックを修正するためにハードフォークをしました。

ビットコインに予期せぬフォークが起きた時、マイニングプールがどっちのフォークをサポートするか投票しました。

Ethereum財団は、公式に取引所が乗せても良いチェーンを定めてTrademarkLawを定めました。Segwitは、ブロックサイズの拡大を諦めたコミュニティの投票によって受け入れられました。

また、現在はマイニングプールがブロック生成市場を独占し、2-3のマイニングプール がビットコインイーサリアムをコントロールしています。手数料も銀行送金よりも高くつきます。

スケーラビリティ問題を解決するかもしれないと期待を寄せられているライトニングネットワークが、既存銀行と同じような中央集権的な仲介ハブとなってしまう可能性だってあります。

このように、アップグレードが可能である全てのブロックチェーンは、開発者グループや、取引所同士のコネクションや、マイニングプールのオペレーターによるネットワークから成る、目に見えない非公式のガバナンス組織が存在しています。この繋がりは既存の中央政府と比べてもずっと不透明でアカウンタビリティーも低いのは明らかです。

既存のブロックチェーンは、このようなコード化されたルールの外側に人の意思が存在することを見落としています。

コードの効力の届かない部分にある人々の意思決定はほぼ無法地帯なのです。

先述の通り、ブロックチェーン上でバグやハッキングが起きてもその制裁は既存の政府や司法機関に任せるいかないし、その解決に関する意思決定(ハードフォークなど)も不透明です。

既存のブロックチェーンは、チェーン上で生じた特異例などを、独自に解決する能力を持たないのです。

EOSの考えるソリューション

EOSはこのような既存ブロックチェーンの問題点を克服しようとする新たなアプローチを図っています。

EOSのガバナンスはDPoSにより選出されるブロック生成者、独自の調停機関であるECAF、そして一般ユーザーの3要素から成り立ちます。

端的に言えば、ブロックチェーンガバナンスと、人為的なガバナンスの”いいとこ取り”をすることで、新たな形のグローバル政府の構築を目指しています。

ブロックチェーンガバナンスからは

  • 客観的で明確な契約やルールをコード化できる点
  • 参加者が地理的要因に縛られない点

 

人為的なガバナンスからは

  • 特異なケースが起きた時に柔軟に対応できる点
  • 解釈に揺れが生じた際に討論での合意を図れる点

 

これらのEOSの考えるグローバルガバナンスに必要な要素を組み合わせた、合意の公式化、自動化、明確化にフォーカスした契約プラットフォームが構想されています。

テクノロジーを用いて討論の余地を最小化し、合意の証拠の質と透明性を最大化することで、これまでのブロックチェーンが見落としいた、無法地帯となっているヒューマンガバナンスの部分に踏み込み、そこに正式なプロセスを組み込もうとしています。

ユーザーのサポート、緊急時の意思決定の公式プロセスの設定を通じて、これまでブロックチェーンが持たなかった、コミュニティ内の責任をコミュニティ内で完結する能力を実現し、完全なグローバル政府を作り出すことを構想しているのです。

このように、完全なグローバル政府の実現には分散的要素と中央集権的要素の組み合わせが必須というのがEOSの考え方でしょう。

この考え方に賛否はあると思いますが、必ずしも分散が正義なのかどうか考え直すきっかけになるのではないでしょうか。


参考

https://medium.com/@bytemaster/decentralized-blockchain-governance-743f0273bf5a

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