資産としての仮想通貨イーサリアムは無価値になるのか?主張の根拠とVitalik氏による反論

資産としての仮想通貨イーサリアムは無価値になるのか?主張の根拠とVitalik氏による反論

Tsuyoshi Kaji / 編集長
Tsuyoshi Kaji / 編集長
2018/09/06

Stellarのテクニカルアドバイザーであり、ビットコインコアの貢献者、MIT Digital Currency Initiativeのコーファウンダー、クリプトスタートアップの投資家でもあるJeremy Rubin氏は、TechCrunchへの寄稿においてイーサリアム (ETH)の価値はいずれゼロになると主張しています。これに対して、イーサリアムの考案者Vitalik Buterin氏はRedditにて反論しています。

この記事では、大きく注目を集めたJeremy氏の主張とVitalik氏による反論がそれぞれどういった根拠に基づいているのかを解説していきます。 

Jeremy氏の主張

まず、Jeremy氏は、マイナーがETHでのガス支払いを望まない限り、ETH (イーサリアムネットワーク自体ではなく資産としてのETH) の価値は将来的にゼロになると考えています。 

これは、イーサリアム 

  • スケーラビリティに問題がある点 
  • セキュアな契約執行手段でない点 
  • 競合相手に勝てていない点
    などが理由ではなく、 

「dAppsなどを運用する際のガス代をETHではなくERC20トークンで支払うことにより、ETHの存在価値がなくなる」 

という理由によるものです。 

根拠

ではJeremy氏はなぜガス代をETHではなくERC20トークンで支払う方がよいと考えているのでしょう。 

Jeremy氏は、ガス代をETHで支払うことは 

という理由でリスクが高いと指摘しています。 

そのため、ERC20トークンガス代を支払うことができれば、ETHに依存せずにマイナーに報酬を与え、トランザクションを行うことができるます。 

仕組み

Jeremy氏は、どのようにしてERC20トークンガス代を支払うかを次のように説明しています。 

「コントラクトの中に非トランザクション機能を組み込む。この機能はコンピュータ処理やキャッシュのアップデートなどのタスクを要求することができ、タスクを実行したマイナーが共有ガスプールからコインを受け取るように規定することができる。この共有ガスプールでは特定のコントラクトにおけるあるユーザーのトランザクションにかかる手数料は、コントラクトのウォレットに払われ、それがマイナーに支払われる。こうすることによりCPFP (Child Pays for Parent) のようなことができる。」

予想される反論に対する回答

Jeremy氏はあらかじめ予想される4つの反論に対して、記事内で回答しています。 

  1. サポートするソフトウェアがない (lack of software support)
  2. トークンの価格を規定するのが難しい (difficulty in pricing many tokens) 
  3. トークンが関わらないコントラクトがある (existence of contracts not tied to tokens) 
  4. PoSのためにはETHが必要 (the need for ETH for PoS)

以下が予想される反論の内容とJeremy氏による回答です。

  1. ソフトウェアがサポートされていない。

反論内容:

  • ETHはコントラクトではなく、ETHを扱うコードはなのでERC20でガス代を支払うことはソフトウェア面でサポートされていない。 

回答:

  • 理性的なユーザーが求めているなら、ソフトウェアを修正しサポートするべき。

 

  1. トークンの価格を規定するのが難しい。

反論内容: 

  • トークンごとに価値が違うからその差異を埋めなければならない。 
  • 価格によって報酬が変わるためその見極めが難しい。 

回答:

  • 現状でもそれは同じで新しい問題ではない。 
  • すでにETHをマイニングする前に価格を調べ、利益が出るかどうか見極めている。

 

  1. トークンが関わらないコントラクトがある。

反論内容:

  • トークンが関わらないコントラクトでもETHなしで支払うことができるのか?

回答:

  • トークンが関わらないコントラクトの場合でも、どんなトークンでも手数料を支払うことができる。
  • 流動性を保つために50%50%で別のコインで払っても良い。 
  • 特別なウォレットコントラクトを使えばマイナーと直接手数料を交渉することもできる。 
  • 手数料をいらないアセットで払い、そのアセットをDEXで好みのアセットに交換することもできる。

 

  1. PoSのためにはETHが必要である。

反論内容: 

  • PoSではETHの保有量などにより承認の確率を決定するためETHが不可欠である。 

回答 

  • ETHなしでもPoSを修正すればコンセンサスを得ることができる。 
  • ノードが議決権を荷重ベクトルで選択するという仕組みを取ればよい。(HD-PoS, Heterogeneous Deposit Proof Of Stakeと呼ばれている。)

Jeremy氏の結論

Jeremy氏はこの主張の結論として、ETHなしでトランザクションが動作するならユーザーが望まなければETHの存在意義はないとしており、ERC20でガス代を支払うことはマイナー、ユーザー、ディベロッパーの3者にとって良い結果をもたらすとしています。 

Vitalik氏による反論

この一連の主張に対して、イーサリアム考案者のVitalik Buterin氏はReddit上のスレッドで反論しています。 

Vitalik氏は

イーサリアムがこのまま変わらなければJeremy氏の主張は正しい。」

としていますが、Vitalik氏によると、イーサリアムコミュニティは現在2つの提案をしており、その提案の両方がプロトコルレベルでETHでの支払いが必要だと主張しています。 

その2つの主張は 

  • ガス使用量の平均をガスリミットの50% (現在の2倍) に目標づけ、ERC20ではなくETHで支払いを義務付ける。  
  • ストレージメンテナンス手数料をETHで支払うように規定する。 

というものです。 

そして、Jeremy氏によるHD-PoSの提案に対しては、 

「2015年にHD-PoSを検討したことはあるが、問題はどのようにしてプロトコルにトークンの価値の違いを認識させるかということ」

だと言っており、 

「プロトコル内のDEXを利用することはできるかもしれないが、その場合、 

  • セキュリティを確保するためには補助金が必要であること 
  • プロトコル内でのペナルティを無効にする「Pathologicalトークン」というものが作られる可能性があること 

により実現は難しい。そのため、ETHはマイナーが報酬を得ることができる唯一の方法である」

と主張しています。 

まとめ

Vitalik氏も認めているように、Jeremy氏の指摘は的確なようです。 

今後イーサリアムがどのように変化するのか、それによってETHの価値にどのような影響があるのかEconomies2.0編集部でも注目していくつもりです。 

 


Jeremy Rubin氏によるTechCrunchへの寄稿

https://techcrunch.com/2018/09/02/the-collapse-of-eth-is-inevitable/

Vitalik Brterin氏によるRedditでの反論 

https://www.reddit.com/r/ethtrader/comments/9ch5ls/the_collapse_of_eth_is_inevitable_techcrunch_can/?sort=confidence

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