SingularDTV 分散型Netflixが作る未来の経済圏とは?

SingularDTV 分散型Netflixが作る未来の経済圏とは?

Kouta Takeuchi
Kouta Takeuchi
2018/10/22

連載「#ユースケースからトークンエコノミーを知る」

新たに始まった連載 #ユースケースからトークンエコノミーを知る では今までに行われたICOの中からトークンエコノミーを形成しようとしているものをピックアップし、ホワイトペーパーの解説を通してユースケースを紹介します。ユースケースを知ることで未来の経済圏にワクワクしていきましょう。第一弾の本記事では分散型Netflix「SingularDTV」を紹介します。

SingularDTV

SingularDTVとは、クリエイターと視聴者を直接繋ぐ、分散型エンターテイメントプラットフォームの構築が目指されたプロジェクトです。現在はその通過点として独自のウォレットアプリとクリエイター支援のためのアプリTokitがローンチされており、近日作品を実際に掲載するTVODポータルもリリースされる予定です。このポータルは、分散型NetFlixのようなものととらえていただければわかりやすいでしょう。今回は、このプラットフォームの仕組みについて詳しく解説していきます。

ICOでの資金調達額:約8億円

サービス

SingularDTVは映画などの作品に対し、アーティストに直接お金が入る仕組みを整えたプラットフォームの構築を目指したプロジェクトです。

独自のTVODポータル、Tokitアプリ、ウォレットアプリから成り立っており、このプラットフォーム上ではSingularDTVのトークンであるSNGLSでやりとりが行われます。現時点で実際にローンチされているのはTokitとウォレットアプリの二つです。

SingularDTVのTVODポータルがNetFlixやAmazonプライムなどの既存の動画ポータルと大きく異なるのは、後者が月額であるのに対し、こちらはEthereumのマイクロペイメントを生かした都度課金制であることです。

また、Tokitアプリは、アーティストなど、作品制作者のための制作プラットフォームとなっています。

クリエイターは制作したい作品を発表してクラウドファンディングを行うことができます。実際のクラウドファンディングとの違いは、トークンを証券のような形で売ることで資金調達をすることです。そして、ファンは直接応援するアーティストの投資をすることができます。

ポータルには、SingularDTV制作のオリジナル作品、Tokitから生まれた作品、または既存の映画やドラマが掲載されます。

ビジョン

SingularDTVは、

・クリエイターやアーティストへの正当な利益配分、権利管理

・視聴者と制作者のP2Pプラットフォーム

・制作者が独自のエコシステムを構築できるプラットフォーム

・検閲のない自由な表現

・最終的にはIPFSを通じた配布

の実現を目指して作られました。

エンターテイメント業界では、レコード会社や制作会社などの仲介者が多く、権利管理も不透明で、当のアーティストに回るお金は売り上げのせいぜい3%程度というのが現状です。

この問題を解決することをビジョンとしています

実はこの発想は以前から存在していました。1997年にデビッド・ボウイの発行したボウイ債や映画ファンドです。

このプラットフォームでは、視聴者が制作者に直接お金を払うため、正当な利益が制作者に入ります。そして、制作者は権利をトークン化して細分化して分配することも可能であり、トークン保持者にも保有トークン量に応じた報酬を受け取ることができます。こうした利益配分は仲介者を通す代わりにスマートコントラクトによって行うことで、より高い信頼性を担保します。

このように知的財産権など定義のしづらかったものをトークンにより可視化し、エンターテイメント業界での透明性の高い利益配分の実現を目指します。

仕組み

このプラットフォームでは、「Guard」「Workshop」と呼ばれるユーザーグループと、一般ユーザーの三つのグループが存在します。Guardはスマートコントラクトのアップデートやコーディングを担当するエンジニア集団、Workshopはプロジェクトを作るクリエイター集団、そして視聴者などの一般ユーザーです。

基本的にユーザーは自分で名乗らない限りは匿名性が保たれます。

一般ユーザーは、TVODポータルで作品を閲覧し、Workshop側は、作品を作る際にTokitでクラウドファンディングをし、規定以上のトークンが集まらなければ作品を制作することはできません。

Tokitの詳しい仕組みを追っていきましょう。

Tokit

Tokitは、Workshopのための制作プラットフォームで、権利管理およびクラウドファンディングを行います。

まず、Workshopは作品プロジェクトを発表し、それに対してユーザーがETHで投資をします。

はじめにプロジェクトを発表した際に5億SNGLSが用意されます。これはスマートコントラクト上に保管されて誰も取り出すことはできません。

そのプロジェクトに対して投資をしたいユーザーは、スマートコントラクトにETHを送ります。送られた分のSNGLSが発行されます。

プロジェクトを開始するのに必要なトークンの最低調達額は3400万SNGLSと決まっています。

しかし、4週間以内に調達できなかった場合、トークン発行は打ち切られ、プロジェクトは無効となり、ETHはスマートコントラクトに送った人たちの元に返されます。

4週間後に最低額を超えた調達ができた場合は、プロジェクトは続行可能で、資金はWorkshopのウォレットに振り込まれます。

また、例外的に、4週間経っていなくとも5億SNGLSを調達できた場合はその時点でトークン発行は終了し、Workshopはコントラクトから資金を引き出せるようになります。

ここで注意したいのは、個人ユーザー間でのSNGLSの送受信はいつでも自由にできますが、Workshopは2年間は自分で保持しなければなりません。すなわち、トークンを売ることができるようになるのはこの時点から2年後です。

WorkshopはETHを使って作品を制作し、売り上げは原則ETHとしてコントラクトに送ります。そして、コントラクトによってクリエイターや個人に、トークン保有量に応じて利益が分配されます。

このアプリを用いて、制作者はマーケティングから資金調達、権利配分まで全て自分自身で行うこととなります。言い換えれば、各アーティストが独自のエコシステムを構築して行くことができるプラットフォームです。

このように、SingularDTVはブロックチェーンP2Pプラットフォームとしての特徴を利用して、視聴者とクリエイターを直接繋ぎます。また、制作者だけでなく、トークン保有者も保有量に応じて報酬を受け取ることができます。

今後の動き

このプロジェクトは2016年に発表され、2017年の冬にTokitがローンチされました。現時点存在しているのはオリジナルのウォレットアプリとTokitです。

現在オリジナルコンテンツの制作も進んでおり、最初の作品として、Alex Winter監督による、ブロックチェーン啓蒙を目的としたドキュメンタリー作品”Trust Machine”は近日公開される予定です。

プラットフォームとしてはまだ発展途上であり、これからまだまだサービスもコンテンツも充実して行くでしょう。

Tokitにも既にいくつかのプロジェクトが上がっていますし、どのような作品が生まれて行くか楽しみですね。また、SingularDTVでは動画コンテンツに限らず、本やゲームにまでジャンルを広げて行くと発表しているので、ますます目が話せません。

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