Non-Fungible Tokenのビジネスユースケースを考察する #1 Intoroduction

Non-Fungible Tokenのビジネスユースケースを考察する #1 Intoroduction

Takuya Shamoto
Takuya Shamoto
2019/01/26

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  1. Non-Fungible Tokenのビジネスユースケースを考察する #1 Intoroduction

2019年のブロックチェーン実用化に向けて、STOなどまさに注目を浴びていますが、それと同様に改めてその価値を確認すべき領域があります。ノンファンジブルトークン(Non-Fungible Token: NFT)の領域です。

今回から数記事にかけて、Non-Fungible Tokenのビジネスユースケースについてを考察していきます。

NFTとは?なぜ今NFTなのか?

昨年のICOブームにより、多くのプロジェクトがEthereumのERC20に準拠したFungible Tokenを発行しました。その中には多くの詐欺案件もあったことにここでは触れませんが、真面目に活動していたチームだったとしても今やそのプロジェクトの多くに、そのトークンの有用性へ疑いの目がかけられています。

トークンを用いたからといって、簡単にそのプラットフォームの価値が上がることはもちろんありません。まず第一にプラットフォームとしての魅力を十分に用意し、その上でいかにトークンをプラットフォーム内外の経済的インセンティブ・ガバナンスに結びつけられるかが鍵となりますが、その高い要求を満たすサービスは、ブロックチェーン技術の未成熟さも相まり、まだほとんど出てきていないのが現状です。

そういった背景の中、Non-Fungible Tokenを用いたビジネスユースケースが今改めて注目を集めています。

 

まずは基本からおさらいしましょう。

ブロックチェーン上に載せられるトークンには、大別してFungible Token(FT)とNon-fungible Token(NFT)という、2種類のトークンが存在しています。

前述したように、一時期大きなバブルを起こしたICOに主に使われていたのは、EthereumのERC20規格に準拠したFungible Tokenでした。

Fungibleとは“代替可能”を意味しています。例えばお金やチップ、昔で言えば金や貝殻など、一定の尺度で価値が定められており交換が可能であるもののことを指します。

一方Non-fungibleは、ダイヤモンドや土地など、それぞれ同じものは二つと無い≒代替不可能であり、個々人の主観によって価値が変動するような性質のトークンを指しています。

とは言っても、当たり前の話ではありますが、ブロックチェーンに乗せられているのはあくまでデータでしかありません。

Non-Fungible Tokenを価値づけているのは、”ブロックチェーンに唯一無二の(他に同一なものが存在しない)データが改ざん不可能なかたちで記録されている”ことであり、そしてそのデータに“何かしらの価値が結びつけられている”ことであります。

その唯一無二のデータにどんな役割を持たせるのか、何を紐づけるかの工夫によって、NFTのユースケースは無数に広がっていきます。

第1回となる本記事では概要紹介として、NFTの様々なビジネスユースケースの外観を見ていきましょう。

ゲーム領域

NFTのそのコンセプトは、NFTの代表的規格であるERC721を用いたCryptokittiesというゲームによって、広くその存在を知らしめました。上図にあるようなそれぞれに違った特徴を持つ猫の絵をトークンに結びつけており、ユーザーは猫の育成と売買を楽しみます。

ゲーム性自体に特徴があるわけではないものの、Ethereumネットワーク上に唯一の価値を表現するという発想の最初の取り組みであったことからバブル的人気を起こし、猫の最高トレード額は当時の金額で約$170,000(日本円で約2000万円)をつけました。

しかし、あくまでこのトークンに価値がつけられていたのは、ブロックチェーンにおける初めての大々的なNFTのサービスであったというユニークさであり、今たとえ同様のサービスを展開したとしても同じマーケットサイズは決して見込めないでしょう。

 

ゲーム領域の他のユースケースでは、日本発のブロックチェーンゲームとして今人気のMy Crypto Heroesが上げられます。ヒーローや装備を集め、パーティーを組んで敵と戦うというゲーム性に加え、そのヒーロー・装備とNFTを紐づけているため、自分の育てたキャラクターや装備をトークンとして売買することが可能になっています。

また、パブリックブロックチェーン上にデータを共有していることから、あるタイトルで使用していたキャラクターが他の新たに作られたブロックチェーンゲームにそのまま使用されることも理論上可能であり、この世界観だけでもブロックチェーンゲームがこれまでのゲーム体験と全く違ったUXを生むことは想像に難くありません。ゲーム×NFTの領域が今後のブロックチェーンのキラーアプリとなってくれることにはより一層の期待が高まります。

 

CryptokittiesがNFTの代表的なユースケースとなったこともあってか、これまでNFTのほとんどはゲーム領域にて用いられてきました。しかし、NFTの活用範囲は前述の通り“何と紐づけるか”によって無数に広がります。以下でその例を見ていきましょう。

現実資産のトークン化

ブロックチェーンネットワーク上に乗せられたNFTに、現実世界の資産を結びつけようという取り組みです。Terra0という、ひまわりの売買サービスが現実資産のトークン化に最初に取り組んだプロジェクトとされています。

Blocksquareはこの文脈においてしばらく注目を浴びているプロジェクトの1つでしょう。不動産のトークン化に取り組む彼らは、2018年5月にICOを済ませており、今も精力的に活動を続けています。不動産業界は潜在的に非常に大きなマーケットサイズを持ちながらも、一般消費者が不動産商品を買うのにはやはり高いハードルがあります。不動産をトークン化することにより、インターネット上で誰もが簡単に不動産取引にアクセスできる世界の構築を彼らは目指しています。

また、インドの首都ニューデリーでは、土地の取引をブロックチェーン上で行おうとする取り組みがなされているとのニュースもあります。植民地時代の名残もあり土地の所有権が曖昧になっており、裁判沙汰になるケースが多いとのことで、IBMも加わって土地情報の電子トークン化に取り組もうとしています。現時点で権利関係が曖昧な中、どのようにしてトークンの所有権を決めるのかは定かではないですが、一度明確な記録が取れるのであれば、その後のやり取りはこれまで以上にスムーズに行うことが期待できるでしょう。同じような取り組みはインドだけでなく、スウェーデンやドバイでも実証実験がなされています。

また、面白いプロジェクトとしてPO8が挙げられます。バハマ沖に沈む沈没船の財宝をトークン化するという一見ユニークなプロジェクトです。2019年の2月8日にSTO開始を予定しており、ERC721の上位互換であるERC1155を規格にしたNFTをそれぞれの財宝に結びつけ、先物買いとして世界中の投資家を募ろうとしています。

STOを行う背景として、大量にある財宝を引き上げるためにダイバーの人員が必要であることや、また得た資金を用いて博物館を作り、世界中からの観光客を増やして国の雇用を増やしながら、美術品・財宝の価値を高めていくことなども目的として置かれています。

財宝の管理は博物館が行い、教育や展示に用いる予定であるものの、所有権はSTOに参加した投資家に属し、いつでもマーケット上で売買が可能だと公式HPにて記載されています。

 

上記のように、現実資産のトークン化においては、新たなマーケットの創出や、既存の権利問題の解決、また資産を担保にした先行投資を受けることなど、他にも様々な効果が期待されています。

アクセス権のトークン化

NFTに認証キーとしての役割を与えるという活用法です。イメージしやすいのが、AdobeやMicrosoft Officeなどのソフトウェアサービスでしょう。従来であれば、それらのソフトウェアサービスを使うためには何桁かのプロダクトコードを打ち込んでいましたが、例えばMetamaskのウォレット内にあるNFTがアクセス権の役割を果たし、パスワード入力要らずでソフトウェアサービスにログインすることが出来る、などの利用法もあるかもしれません。

実際に、株式会社Geomerlin Systemsによって“プロダクトクラウドセール(PCS)”と名付けられた、上記にあげたNFTの利用法が提案されています(WP)。Twitterにて極度妄想(しなさい)のハンドルネームで知られる、日本のブロックチェーン技術領域においての第一人者である日置玲於奈氏が運営代表を務めています。法的な規制に障らない点や、プロダクトの認証キーの販売ということで、その価格はプロダクトの価値に准ずるものであり、価格の算出が従来のICOなどに比べて容易であることが大きな利点として受け入れられるでしょう。今後の活用に非常に期待したくなるサービスに思われます。

他にもアクセス権のトークン化に関しては、1週間・3日間だけというスポットでサービスへのアクセス権トークンを購入することや、余ってしまった分だけアクセス権を2次流通させることなども可能であると思われます。

短期で利用されることはソフトウェアベンダー側からしたら嬉しい話ではないかもしれませんが、しかしユーザーがサービスを利用する敷居が低くなるという面では、新たなビジネスチャンスが広がる可能性もあるでしょう。

こういったアクセス権に関しては、NFTではなくとも、ある一定額以上のユーティリティートークンを保持することでオプション機能がアンロックされて使えるようになる、といったサービスなども出てくるかもしれません。

その他の領域

他にも、身分証明や成績・卒業証明などのライセンスに用いたり、飛行機・コンサートのチケットに用いるなどの用法も今後の期待されるユースケースとして挙げられています。また、何らかの価値を持ったNon-Fungible Tokenに、BondedCurvedTokenと呼ばれる価格調整モデルを内在するFTを紐付けたトークンのことを、Re-Fungible Tokenと呼び、アートやキュレーションの文脈でその活用法を模索されています。

NFT周りにおけるビジネスとしては、マーケットプレイスとしてOpenseaやRare Bitsが有名です。NFTを売買するためのebay・メルカリのような存在ですが、今後より業界が発展していく中で、NFTのオークションサイトなども出てくるのではないでしょうか。

日本からもBazaar.ioというNFTのマッチングプラットフォームが立ち上がることが発表されています。

まとめ

ここまでNFTの産み出すインパクトの概観を見てきました。しかしNFTもまだCryptokittiesによるバブルを経て認知を得てから未だ1年と少ししか経っておらず、現実資産のトークン化に関してもオラクルの問題など、ブロックチェーンの他の分野もそうであるように未成熟な状態であることに変わりはありません。

しかし、現実世界に既に馴染みのあるものをトークン化することに関しては、これまでの多くのICOプロジェクトが作り上げようとしていた世界観よりもマス向けに馴染みやすいものが多く、STOやDeFiに並んで今年注目すべき領域であるとも言えます。

次回以降の記事でより具体的に、個々の領域からプロジェクトを取り上げ、その詳細に迫っていきます。

第2回となる次回は、現実資産のトークン化について取り上げる予定です。


参考

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