What is Blockchain? #1 ブロックチェーンの背景

What is Blockchain? #1 ブロックチェーンの背景

Kouta Takeuchi
Kouta Takeuchi
2018/08/21

テクノロジーと権力

一部の人しか手に入れることのできない、あるいはコントロールすることのできない何かは、時として社会の権力構造を生み出してきました。土地、農作物、水といった、資源を独占的に支配することができる誰かが存在したならば、その者の元に権力は集中し中央集権的な権力構造が生まれました。食料や土地、水は生きるために必要な資源ですが、現代社会においては、「情報」も生きるために重要な資源であると考えられます。そして情報も、一部の者のみが手に入れる、あるいはコントロールすることが可能な閉じられた資源となり得ます。

その一方で、テクノロジーによる破壊的イノベーションは、これまでにあらゆる既得権益を大衆へと還元させてきました。それまでごく一部の者のみがリーチできていた資源が、テクノロジーの力によって大衆によるコントロール、あるいは生産が可能となり、閉じられていたことによって生み出されていた権力を大衆に還元してきました。情報においても、活版印刷術が大衆に「知る権利」を還元し、インターネットが大衆に「発信する権利」を還元し、あらゆる権利構造を打破してきました。

さて、ブロックチェーンはインターネットに次ぐIT革命であると謳われています。ブロックチェーンは何らかの権力構造を打破し得るのでしょうか。この記事ではブロックチェーンが大衆に還元し得ると考えれられる権力について、インターネットの例を踏まえながら考察して参りたいと思います。

インターネットが大衆に還元したもの

次はインターネットの例を見ていきたいと思います。活版印刷術が「情報の受信」による権力を大衆に還元したのだとすれば、インターネットは「情報の発信」による権力を大衆に還元した技術だ言うことができると考えられます。

「情報の発信」が大衆化することで、どのような既得権益が還元されたのかという事を、そもそも「情報の発信」は何のために行われてきたのかという考察と共に考えて参りたいと思います。そもそも生物は何故情報を発信するのでしょうか。動物の情報発信としては、鳴き声やジェスチャーが挙げられます。論理構造を持たないこれらの情報発信は、相手の行動をコントロールするためのものであると考えることができます。鳴き声により敵を威嚇し自分から遠ざける、あるいは仲間を集めるために遠吠えをする、といった情報の発信には相手の行動をコントロール意図があったと考えられます。これは人間にも当てはまると考えられます。人が情報を発信する際は多かれ少なかれ相手の行動をコントロールする意志が含まれているのです。

インターネット以前は、情報を発信できるものはマスメディアに限られていました。情報には、人の行動をコントロールする力があるということを踏まえると、大衆の行動はマスメディアの意志によって多かれ少なかれコントロールされていたという風に考えることができます。このことはTVCMが持っていた莫大な影響力に見て取ることができるのではないでしょうか。

インターネットの誕生により、個人が情報を発信できるようになりました。誰もが誰かの行動をコントロールする力を持ち得る社会になったのです。そうなるとマスメディアの力は急速に衰えました。TVを見ないという若者が現れると共に、商品広告の手段がネット広告、Youtube、インフルエンサーなど多様化しているということからも、人の行動をコントロールするための情報発信の在り方が多様化していることが見て取れます。このように、マスメディアに集中していた人の行動をコントロールし得る権力はインターネットの出現により大衆に還元されていったのです。

仮想通貨にブロックチェーンが必要だった理由

ブロックチェーンがどんな権力を大衆に還元したのかという事を考察するにあたって、ブロックチェーンを用いた仕組みとして最も有名な仮想通貨について言及したいと思います。仮想通貨ブロックチェーンを用いることで、共通の台帳を参加者全員で管理する仕組みです。なぜ仮想通貨を実現するにはブロックチェーンという技術が必要だったのでしょうか。

その答えを手探るために、現代のお金について言及したいと思います。通貨とは経済学上①価値の尺度②交換の媒体③価値の貯蔵、の③つの役割を持つものを指します。これらの役割を満たすものとして、昔は金や貝殻といった量産することができず、持ち運びが可能であり、長期の耐久性があるものが用いられていました。

現代においては、通貨のほとんどが情報化されています。情報は適切に管理すれば、持ち運び、耐久性、量産不可能性において、とても優れた性能を発揮します。銀行における給料の受け取り、送金といったやり取りもほとんどが情報をやり取りすることで成立しています。通貨のような物を単に情報として管理し、流通させることは既存の技術でも可能でした。ゲーム内に通貨が存在するように、サーバー上の記録を書き換えていくだけで成立するはずです。それでは、なぜ仮想通貨にはブロクチェーンが必要だったのでしょうか。

その理由が「信用」です。サーバー上の情報として、通貨を誕生させ、やり取りを可能にするシステムを作ることができても、それを管理する機関あるいは人に相当な信用が無ければ、人はその情報を価値として認め、モノやサービスといった価値との交換には応じないでしょう。悪意を持った者が通貨の実権を握ると、ある日突然資産が0になったり、一部の者たちが不正な利益を享受するような事態が考え得るからです。

お金を管理する機関は相当な「信用」を必要とします。銀行無くして、人々の資産を管理するシステムを実現するためには、テクノロジーの力が必要でした。そのテクノロジーこそがブロックチェーンなのです。ブロックチェーンは、特定の管理者を設定するのではなく、参加者全体で管理をしていく仕組みを構築することで、特定の誰かを信頼することを必要としないシステムを実現したのです。

ブロックチェーンが大衆に還元したもの

以上のように、ブロックチェーンは大衆に「信用」という権力を解放した技術であると考えることができます。これまでは、資産や情報を管理するようなサービスを作るには、信用を獲得している必要がありました。ブロックチェーンは信用を人ではなく技術によって担保するシステムです。従来では、信用が無いと実現できなかったサービスをブロックチェーンが信用の部分を担保することで実現することができるようになったのです。信用のできない所に情報は預けられない、信用のできない所に資産は預けられない、信用のできない所に仕事は任せられない、という風に現代では多くのサービスが信用を必要とします。ブロックチェーンはそんなサービスを実現するハードルを下げ、多様性を生み出していく技術なのだと考えられます。

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