大型ICOの行方とは? ICOプロジェクトの内情を暴く

大型ICOの行方とは? ICOプロジェクトの内情を暴く

Tsuyoshi Kaji / 編集長
Tsuyoshi Kaji / 編集長
2018/11/05

イントロ

2017年、ICOは爆発的に増加し、資金調達額は70億ドル (約8000億円) に上りました。ICOは株式公開であるICOと異なり、弁護士や銀行、規制当局の承認を必要とせずビットコインやEthereumなどの仮想通貨を介したクラウドファンディングスタイルの資金調達方法です。銀行や当局の承認を必要としないというハードルの低さから多くのICOプロジェクトが立ち上がり、巨額の資金を調達しました。しかしながら、多くのプロジェクトの透明性は低く、調達した資金が何に使われているのか、プロジェクトでは何人のメンバーが働いているのか、現在の進捗状況など明らかにされてないことが多いため、本当にそのプロジェクトが掲げる目標が達成させるのかも怪しいという状況です。 

また、その結果多くのICOトークンの価値は下落し、エストニアのPolybiusというプロジェクトのPBLTトークンの価格は84%も下落し、ICOで調達したビットコインの価値は40億ドルまで上昇したのに対し、PBLTトークンは6億ドルまで下落しました。 

今回、大型ICOのその後を追跡するにあたって、ICOから1年以上経過したプロジェクトの中で資金調達額が多かった10のプロジェクトの現状について大きく以下の2点を解説します。

  • プロジェクトの進行状況
  • 調達資金の行方

TEZOS (XTZ)

プロダクト:分散型クラウドコンピューティングプラットフォーム

トークンの価格:1.31ドル

ICOのリターン:228%

同期間のビットコインのリターン:178%

ICO終了日時:2017年7月14日

資金調達額:2億3000万ドル

資金残額:5億ドル

従業員数:約40人

進行状況:2018年9月17日にメインネットローンチ。ネットワークノードの参加者が約450人。

2014年に設立され、Ethereumのような分散型コンピューティングプラットフォームの構築を目指したが、内部の対立や訴訟問題によりプロジェクトは遅延しました。TezosのICO資金は7人で構成されるTezos Foundationによって管理され、ソフトウェア開発、リサーチ、マーケティングなどに分配されています。Tezosは2017年に最も多くの資金を調達したICOの一つであり、法的には不安を残し、プロジェクトの遅延はあったもののメインメットのローンチにこぎつけました。ビットコインやEthereumの価格上昇の影響もあり資金は潤沢にあるようです。しかしネットワークノードの参加者は約450ほどであり、プロダクトとしての成功には疑問が残ります。

BANCOR (BNT)

プロダクト:分散型取引所 (DEX)

トークンの価格:1.28ドル

ICOのリターン:-67%

同期間のビットコインのリターン:143%

ICO終了日時:2017年6月12日

資金調達額:1億5300万ドル

資金残額:7500万ドル (推定)

従業員数:61人

進行状況:2017年10月にメインネットローンチ

盗難事件後の対応により、分散性に関して議論が巻き起こったように、Bancorは完全な分散性には固執していないようです。BancorはForbesの取材に対して資金残額に関する回答を拒否しているため、Forbesによる推定ですが7500ドルとなっています。ICO以来BNTトークンの価格は60%下落していますが、1日に約400万ドルのトークンがBancorプラットフォーム上で取引されています。BNTトークンの平均デイリーユーザー数は125人となっています。

STATUS (SNT)

プロダクト:分散型アプリケーション (dApps) 用のブラウザ、ウォレット、チャットサービス

トークンの価格:0.04ドル

ICOのリターン:-5%

同期間のビットコインのリターン:140%

ICO終了日時:2017年6月21日

資金調達額:9500万ドル

資金残額:5300万ドル

従業員数:90

進行状況:アプリケーションのテストバージョンがローンチされているがデイリーユーザー数は1000人以下。トークンのデイリーユーザー数は130人。

Statusはウォレットとチャット機能を搭載したdAppsブラウザです。24カ国に98人の従業員がおり、バーンレートが1ヶ月130万ドルと高くなっています。Statusのバーンレートの高さは懸念点でもありますが、プロジェクトのビジネスモデル自体の方が懸念されており、dAppsブラウザの需要はまだまだ高まらない可能性が指摘されています。現状としてStatusのトークンはほぼ何の機能もない状態であるため、なぜベンチャーキャピタルから出資を受けるような一般的な方法で資金を調達しなかったのか疑問視されています。コアプロダクトのリリースも未定となっています。

TenX (PAY)

プロダクト:仮想通貨決済式デビットカード

トークンの価格:0.55ドル

ICOのリターン:-28%

同期間のビットコインのリターン:148%

ICO終了日時:2017年6月24日

資金調達額:8300万ドル

資金残額:1億400万ドル

従業員数:80人

進行状況:1回目に提供されたデビットカードのリコール後、10万人のカスタマーに対して2回目のデリバリーの準備ができている。

シンガポールに拠点を置くTenXはペイメント会社であるWaveCrestと協業し、VISAカードをリリースしたもののVISAのライセンス違反によりWaveCrestの仮想通貨決済へのサービス提供停止に伴い、サービスを停止しました。現在はETHと法定通貨を50%ずつの割合で保有しているようです。

PRESSONE (PRS)

プロダクト:広告ではなく読者からのマイクロペイメントで成り立つデジタルコンテンツのプラットフォーム

トークンの価格:0.05ドル

ICOのリターン:不明

同期間のビットコインのリターン:223%

ICO終了日時:2017年7月15日

資金調達額:8200万ドル

資金残額:不明

従業員数:不明

進行状況:中国によるICO禁止後、調達資金を投資家に返金する予定だと報告されているが実際にトークンが返還されたかどうかは確認はできていない。

PressOneは中国に拠点を置くプロジェクトでマイクロペイメントによるデジタルコンテンツのプラットフォームを構築することが元々の目的として設立されました。中国によるICO禁止後のトークン返還は確認できておらず、謎に包まれた状態になっています。

MOBILEGO (MGO)

プロダクト:eスポーツゲーミングにフォーカスしたデジタル通貨プラットフォーム

トークンの価格:0.42ドル

ICOのリターン:-44%

同期間のビットコインのリターン:180%

ICO終了日時:2017年5月25日

資金調達額:5300万ドル

資金残額:不明

従業員数:50人、ピーク時は約100人

進行状況:デジタルウォレットは完成、ゲーミングプラットフォームに関しては疑問が残る。

eスポーツへの賭け、eスポーツトーナメントの参加費の支払いが可能になるデジタル通貨プラットフォームを元々の目的として始まったプロジェクトですが、元社員からの情報によると仮想通貨から離れようとしているようです。調達資金の行方に関しては情報が公開されていません。

SONM (SNM)

プロダクト:分散型設計に基づくフォグコンピューティングプラットフォーム

トークンの価格:0.06ドル

ICOのリターン:-66%

同期間のビットコインのリターン:223%

ICO終了日時:2017年7月15日

資金調達額:4200万ドル

資金残額:1800万ドル

従業員数:70人

進行状況:2018年6月にローンチもユーザー数が今のところ50-100人しかいない。

AWSやDfinityのようなクラウドコンピューティングプラットフォームと競合するフォグコンピューティングプラットフォームのプロジェクトです。調達した資金の多くを法定通貨に換え、従来の銀行に保管しているようです。ネットワークローンチ後もユーザー数は伸び悩んでおり、AWSと対抗する未来は残念ながら見えません。

BRAVE, BASIC ATTENTION TOKEN (BAT)

プロダクト:広告ブロック機能付きWebブラウザ、ユーザーからクリエーターに直接報酬を与えられる。

トークンの価格:0.24ドル

ICOのリターン:580%

同期間のビットコインのリターン:183%

ICO終了日時:2017年5月31日

資金調達額:3500万ドル

資金残額:最低3000万ドル (推定)

従業員数:90人

進行状況:プロジェクト自体は順調

仮想通貨での報酬支払いが可能な広告ブロック機能付きWebブラウザのプロジェウトです。Braveは調達した資金のほとんどを従業員の賃金やFacebook・Google広告として消費しています。昨年の月間アクティブユーザ数40万人から470万人に成長しました。CEO曰く現在は収益よりプロジェクトの成長にフォーカスしているそうです。ICOトークンの価格は大きく上がりましたが、一旦価格は落ち着いており、プロジェクトの規模の拡大とトークンの価格は必ずしも結びつかないということを示しています。

CIVIV (CVC)

プロダクト:中央データベース無しに身分証明を行うことができるソフトウェア

トークンの価格:0.14ドル

ICOのリターン:36%

同期間のビットコインのリターン:139%

ICO終了日時:2017年6月22日

資金調達額:3300万ドル

資金残額:最低2000万ドル (推定)

従業員数:42人

進行状況:

データのプライバシーを保持し、データ濫用のリスクを避けることを目的として設立されたプロジェクトです。資金の多くを従業員の賃金に費やしています。現在10万以上のダウンロードがされており、一月にアプリケーションが身分証明を行なった回数は8000回に登ります。

POLYBIUS (PLBT)

プロダクト:仮想通貨ウォレットと資産運用分析を行うアプリケーション

トークンの価格:1.58ドル

ICOのリターン:-84%

同期間のビットコインのリターン:148%

ICO終了日時:2017年7月4日

資金調達額:3200万ドル

資金残額:4000万ドル

従業員数:13

進行状況:プロトタイプ段階

ICO資金の多くをビットコインで保有していたためICO以来、財政的には悪くはない状態で、調達時より800万ドル多く保有しているが、トークン自体のパフォーマンスはひどく、84%も価格が下落している。というのもPolybiusは未だプロダクトをリリースしていない。

まとめ

資金調達から1年以上が経過したICOトップ10を見てきましたが、いかかでしたでしょうか。このリストとプロジェクトの現状から考えられることはICOトークン、特にユーティリティトークンの価値が上昇し、プロジェクトとして成功するかどうかは、プロダクト・サービス自体の質や使い道、そしてトークンの価値の上昇に貢献するインセンティブの設計の2点によって大きく左右されるということです。逆に、プロダクト・サービスの開発が遅く、意味のあるものでないプロジェクトはICO時点では高い価値を持つことができても、その価値を維持することはできないということです。どのようなインセンティブ設計やエコシステム設計が成功するのか、注目していくべきでしょう。


参考:https://www.forbes.com/sites/jeffkauflin/2018/10/29/where-did-the-money-go-inside-the-big-crypto-icos-of-2017/#370e750261bb

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